報告書の様式は、法律で定められていません。
探偵業法は、調査の結果を依頼者に報告することを業務の定義に含めていますが、どういう形式で、何をどこまで書くのかについての定めは置いていません。
そのため、中身には事業者によって差が出ます。この記事は、その差を契約前に見分ける方法を扱います。
定めがないことの意味
法定の様式がある書類なら、どこに頼んでも同じものが出てきます。
報告書はそうではありません。同じ日数、同じ費用でも、返ってくるものが違い得ます。
これは事業者の良し悪しというより、そもそも基準が置かれていないことによります。
したがって、比較の対象になります。
契約前に確認できること
見本を見せてもらえるかどうかが、最も分かりやすい材料です。
実際の調査対象の情報は当然出せませんが、個人が特定できないよう加工した見本を用意している事業者はあります。
見本を見るときに確認したいのは、次の4点です。
| 見る点 | なぜ見るのか |
|---|---|
| 日時の記載 | 何時何分の単位まで記録されているか |
| 行動の連続性 | 移動の経路が途切れずにつながっているか |
| 写真の位置づけ | 写真単体ではなく、時系列の記録に紐づいているか |
| 説明の書き方 | 事実の記述と、書き手の推測が分けて書かれているか |
4番目が見落とされやすい部分です。
「親密な様子だった」といった書き手の評価が事実の記述に混ざっていると、後から読む側がどこまでが観察でどこからが解釈かを判断できません。
見本を出せないと言われた場合
出せない事情もあります。その場合は、口頭で次のことを聞いてください。
- 報告は書面で渡されるのか、口頭のみか
- 記録の粒度はどれくらいか
- 写真はどういう形で含まれるのか
- 追加の説明を求めた場合、対応してもらえるか
答えが具体的かどうかが、そのまま材料になります。
資料の処分についても書面に書かれる
意外と重要なのがここです。
探偵業法第8条は、契約前に交付する書面の記載事項として、調査の結果として得られた資料の処分に関する事項を挙げています。
調査で撮られた写真や記録が、いつ、どのように処分されるのか。これが書面で確認できます。
同法第10条は、業務上知り得た人の秘密を正当な理由なく漏らしてはならないと定め、退職後も同様としています。
受け取った後のことまで、契約前に確認できる構造になっています。
受け取った後にすること
報告書が手元に来ても、それで手続きが進むわけではありません。
使うかどうか、どう使うかは弁護士の判断領域です。
とくに、民法第770条第2項が、離婚の事由がある場合であっても裁判所が婚姻の継続を相当と認めるときは請求を棄却できると定めている点は、押さえておいてください。報告書がそろうことと、望む結果になることは別です。
受け取った段階で相手に見せるかどうかも、先に弁護士へ相談してください。見せた時点で相手は説明を用意し、以降の話し合いの前提が変わります。
契約前に確認しておくことはこちらの記事に、依頼できる範囲はこちらの記事にまとめています。
よくある質問
報告書は必ずもらえますか。
探偵業法第2条は、調査の結果を依頼者に報告する業務と定義しているため、報告そのものは業務に含まれます。ただし、どういう形式で、どこまで詳しく報告されるかは法律で決まっていません。書面での報告書が含まれるのかを、契約前の説明の場で確認してください。
写真は何枚入りますか。
枚数の基準はありません。何が撮れるかは調査当日の状況によって変わるためです。事前に約束できる性質のものではないので、必ず何枚と言われた場合は、その根拠を確認してください。
報告書があれば離婚できますか。
報告書は事実を記録したものであり、それ自体が手続きを進めるものではありません。民法第770条第2項は、離婚の事由がある場合であっても、裁判所が一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは請求を棄却できると定めています。見通しは弁護士にご確認ください。
調査で撮られた写真は、その後どうなりますか。
探偵業法第8条により、調査の結果として得られた資料の処分に関する事項は、契約前に交付される書面の記載事項に含まれます。いつ、どのように処分されるのかが書かれているはずなので、署名する前にその欄を読んでください。
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法律上の注意
この記事は制度と確認方法の説明であり、報告書の内容や効果を保証するものではありません。受け取った報告書をどう使うかは、弁護士にご相談ください。