依頼できるかどうかの線は、探偵業法第2条の定義が引いています。
面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務
鍵になるのは「実地の調査」です。
実際に人が現場で見て確かめる方法かどうか。ここで、依頼できることとできないことが分かれます。
依頼できる範囲
定義に沿うのは、次のような形です。
- 特定の日時に、対象者がどこへ行き、誰と会ったかを確認する
- 一定期間にわたって行動を記録し、報告書にまとめる
- 関係者から話を聞く
- 特定の場所への出入りを確認する
共通しているのは、外から見て確かめられることだけを扱っている点です。
依頼できない範囲
一方、次のものは定義の外にあります。
| 依頼できないこと | 理由 |
|---|---|
| 相手のスマートフォンの中身を取得する | 実地の調査ではない。取得の方法自体が別の法律の問題になる |
| 通話履歴やメッセージの内容を取り出す | 同上 |
| 銀行口座の入出金を調べる | 同上 |
| 戸籍や住民票を取得する | 取得できる者が法律で限定されている |
| 相手や勤務先と交渉する | 調査と報告の範囲外 |
うな探偵社が公開している却下の条件にも、正規の手法でできない調査(法律上、調査不可のもの)が挙げられています。
依頼を受ける側にとっても、これらは受けられない依頼です。「対応できる」と言われた場合は、どういう方法で行うのかを書面で確認してください。
交渉と請求が頼めない理由
見落とされやすいのがここです。
担当の範囲は、事実を調べて報告するところまでです。 その先にある交渉や請求は含まれません。
国民生活センターも、消費者トラブルFAQのなかで、代理交渉や紛争解決の権限がない点を説明しています。
同センターは、「トラブルを解決する」「請求が来ないようにする」といった説明をする事業者との契約は避けるよう注意を促してもいます。
つまり、調査で事実が分かった後の段階は、別の専門家の領域になります。
| 段階 | 誰の業務か |
|---|---|
| 事実を確かめる | 探偵業者 |
| 慰謝料を請求する・離婚の手続きを進める | 弁護士 |
この2つを1か所で完結させることはできません。 順番に進むものだと考えてください。
依頼の目的も見られている
もう1つ、第9条があります。
同条は、違法な目的での調査依頼を受託してはならないと、探偵業者に義務づけています。
そして第7条により、依頼者は調査結果を違法な行為のために用いない旨の書面を交付します。
したがって、「相手に嫌がらせをするために住所を知りたい」といった目的は、そもそも受けられません。
目的を偽って依頼しても、承認されないか、後から問題になります。 何のために知りたいのかは、率直に伝えたほうが早く進みます。
相談のときに伝えること
範囲に入るかどうかを自分で判断する必要はありません。相談の場で、次の3点を伝えてください。
- 何を明らかにしたいのか(どこにいるか、ではなく、何を確かめたいのか)
- いま手元に何があるのか
- その後どうしたいのか(離婚を考えている、まだ決めていない、など)
3番目を伝えると、調査の区切り方が変わります。確かめて終わりにするのか、次の手続きに使うのかで、必要なものが違うためです。
契約前に確認できることはこちらの記事に、手元の記録が足りるかどうかはこちらの記事にまとめています。
よくある質問
浮気相手の氏名や住所を調べてもらえますか。
行動を確認する過程で判明することはありますが、必ず特定できると約束されるものではありません。また、判明した情報を使って相手に接触する行為は、探偵業法第7条で依頼者が交付する書面の内容に関わります。何のために必要なのかを、契約前の相談で伝えて確認してください。
相手のスマホの中身や通話履歴は調べられますか。
調べられません。探偵業法第2条が定義する探偵業務は実地の調査であり、通信の内容を取得することはこの定義の外にあります。うな探偵社が公開している却下の条件にも、正規の手法でできない調査が挙げられています。対応すると言われた場合は、その方法を書面で確認してください。
相手や浮気相手と話をつけてもらえますか。
頼めません。探偵業者の担当は、事実を調べて報告するところまでです。その先にある交渉や慰謝料の請求は弁護士の業務にあたります。国民生活センターも、消費者トラブルFAQのなかで代理交渉の権限がない点を説明しています。調査と交渉で窓口が分かれると考えてください。
浮気以外のことも頼めますか。
事業者によって対応範囲が異なります。人探しや企業の信用に関する調査に対応している事業者もあります。対応できる調査の種類は、契約前の書面に記載される業務の内容の欄で確認できます。
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法律上の注意
この記事は制度上の範囲を説明するもので、特定の事業者ができること・できないことの保証ではありません。実際にどこまで対応してもらえるかは、契約前の書面と説明で確認してください。