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別居している相手の住まいに立ち入る行為は、鍵を持っていても刑法第130条の対象になり得ます。法定刑は3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金です。
「もともと自分も住んでいた家だから」「名義は自分だから」という事情は、いま誰がそこで暮らしているかとは別に判断されます。
この記事では、条文の書き方と、迷いやすい3つの場面を整理します。
条文には後段がある
第130条は次のように定めています。
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者
後段を見てください。 入る行為だけでなく、出ていくよう言われて留まる行為も対象になっています。
これは、話し合いのつもりで訪ねた場面で問題になります。玄関先で押し問答になり、相手が帰るよう求めたのに留まった。この状態が、条文の後段に重なります。
入り方が穏やかでも、その後の対応で成立し得るという構造です。
迷いやすい場面(1)合鍵を持っている
鍵を持っていることは、立ち入りの承諾が続いていることを意味しません。
渡された当時は一緒に暮らしていたはずです。別居が始まった時点で、その鍵が前提としていた関係は変わっています。
相手が鍵の返却を求めていた場合は、なおさら承諾がない状態になります。
迷いやすい場面(2)名義が自分または共有
第130条が守っているのは、所有権ではなく、その場所で平穏に暮らしている状態だと説明されます。
そのため、名義があることだけを理由に立ち入ってよいとは限りません。
家賃を払い続けているという事情も同じです。支払いと、いま住んでいる人の生活は別に扱われます。
迷いやすい場面(3)必要があって行く
荷物を取りに行く、郵便物を確認する、子どもに会う。こうした必要が実際にあることは珍しくありません。
必要があること自体は否定されません。問題になるのは、その必要を、相手の同意なしに一方的に実行した場合です。
事前に連絡して日時を決める、第三者に立ち会ってもらう。こうした形にしておくと、後から経緯を説明できます。
立ち入りの過程で別の条文が重なる
中に入るだけで終わらない場合があります。
鍵を壊した、機器を固定するために内装に穴を開けた、相手の荷物を壊した。こうした場合は、第261条の器物損壊が別に問題になります。
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は…
法定刑は3年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金若しくは科料です。
1回の行動が、複数の条文に同時に関わる形は珍しくありません。
別居後に確かめたいことが残っている場合
別居していると、相手の生活が見えなくなります。だからこそ確かめたくなります。
ただ、別居はあなたにとって不利な状況ではありません。 相手が単独で生活している分、行動が単純になり、外から確認できる場面が増えることもあります。
立ち入って何かを探す方向ではなく、外から確認できる範囲で何が分かるのかを、届出のある事業者に聞いてみてください。
自分で動く場合と依頼する場合で何が違うのかは、こちらの記事で整理しています。
よくある質問
名義が自分の家です。それでも入れませんか。
所有名義と、いま誰が住んでいるかは別に判断されます。第130条が守っているのは所有権ではなく、その場所で平穏に暮らしている状態だと説明されます。名義があることだけを理由に立ち入ってよいと判断しないでください。具体的な状況は弁護士にご確認ください。
荷物を取りに行く必要があります。どうすればいいですか。
必要があること自体は否定されません。ただ、事前に連絡して日時を決める、第三者に立ち会ってもらう、といった形にしておくと、後から立ち入りの経緯を説明できます。連絡が取れない場合の進め方を含めて、弁護士に相談してください。
相手が家を出ていったあと、まだ荷物が残っています。私はまだ住んでいます。
あなたが住み続けている住まいであれば、この条文の問題は生じにくくなります。論点になるのは、相手だけが住んでいる場所に立ち入る場合です。ただし、残された荷物を勝手に処分した場合は、器物損壊が別に問題になり得ます。
入ったことを相手が知らなければ問題ないのでは。
気づかれるかどうかで、条文の当てはまりが変わるわけではありません。加えて、防犯カメラや入退室の記録が残っていることがあります。後から離婚や慰謝料の話し合いのなかで持ち出されると、そのときに説明を求められます。
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法律上の注意
立ち入りの方法や、痕跡を残さないための手順は掲載していません。この記事が扱うのは、その行為がどの条文に触れるおそれがあるかだけです。荷物の引き取りなど必要があって立ち入る場合の進め方は、弁護士にご確認ください。