届出をした探偵業者に依頼する浮気調査は、違法ではありません。問題になるのは、依頼者本人が自分で行う一部の行為と、依頼の目的そのものが違法な場合です。
「浮気調査 違法」で検索する人の多くは、この2つを分けずに不安を抱えています。順番に切り分けていきます。
なお、ご自身のケースが違法にあたるかどうかの判断は弁護士の業務です。ここでは条文に何が書かれているかまでを扱います。
探偵の調査が違法にならない理由
探偵業法第2条は、探偵業務を次のように定義しています。
他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務
尾行と張込みが、条文のなかに明示されています。
つまり、これらは法律が業務として想定している行為であり、それ自体が禁じられているわけではありません。
そのうえで同法第4条は、探偵業を営もうとする者に対し、営業所ごとに都道府県公安委員会へ届け出ることを求めています。届出をせずに営業した場合の罰則は6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金です。
業として行うことを法律が前提にしているからこそ、届出という手続きが置かれている、という関係になります。
「訴えられる」には2つの意味がある
ここが最も混同されやすい点です。
読者が「訴えられる」と言うとき、実際には次の2つが混ざっています。
| 刑事 | 民事 | |
|---|---|---|
| 何が起きるか | 犯罪として捜査・起訴される | 相手から損害賠償を請求される |
| 判断するのは | 捜査機関と裁判所 | 相手方の意思と裁判所 |
| 根拠 | 刑法・ストーカー規制法・不正アクセス禁止法など | 民法第709条 |
| 結果 | 拘禁刑・罰金 | 金銭の支払い |
民法第709条は、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と定めています。
重要なのは、この2つが別々に起こり得ることです。
罪に問われなかったとしても、相手からの請求を受ける可能性は残ります。逆も同じです。
「犯罪になりますか」という問いに「なりません」と答えられても、それは「訴えられません」の意味にはなりません。
依頼した側が責任を問われる場面
探偵業法には、依頼者に関わる条文が2つあります。
第9条は、違法な目的での調査依頼を受託してはならないと、探偵業者に義務づけています。
第7条は、契約を締結しようとするときに、依頼者から次の内容の書面の交付を受けなければならないと定めています。
当該探偵業務に係る調査の結果を犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いない旨を示す書面
つまり、あなたは「調査結果を違法な行為に使いません」と書面で示したうえで契約することになります。
これは形式的な手続きに見えますが、実質的な意味があります。調査で分かった相手の勤務先や住所を使って、押しかけたり嫌がらせをしたりした場合、その行為は書面の内容に反します。
調査そのものは適法でも、結果の使い方は別に評価される、と考えてください。
探偵に頼んでも、できないこと
依頼すれば何でも調べられるわけではありません。
うな探偵社が公開している却下の条件にも、**正規の手法でできない調査(法律上、調査不可のもの)**が挙げられています。
具体的には、相手のスマートフォンの中身を取得すること、通信内容を傍受すること、他人名義の口座の内容を調べることなどが、これに当たると考えられます。
「探偵なら法律の外側でも動ける」という前提は、成り立ちません。
探偵業法第2条の定義が、面接による聞込み・尾行・張込み・これらに類する方法と書いていることが、その範囲を示しています。
依頼する前に確認する3点
不安を減らすために、契約前に確認できることがあります。
- 届出をした公安委員会と番号 — 表示されている内容と、契約前の書面の記載が一致しているか
- 調査の方法 — 何をどう調べるのかを、具体的に説明してもらえるか
- 委託の方針 — 自社で実施するのか、他社に委託するのか
3点目は見落とされがちですが、探偵業法第8条が書面の記載事項として挙げている項目です。
自分で調べようとして手が止まっている段階なら、先に手元にある記録が使えるのかを確かめておくと、相談のときに聞くことが決まります。
よくある質問
探偵に依頼したこと自体が相手にバレたら、こちらが責任を問われますか。
調査を依頼した事実だけで責任を問われることは、通常は考えにくいとされています。探偵業法は届出をした事業者が行う実地の調査を前提に組み立てられているためです。ただし、依頼の目的が違法な行為にあった場合は別で、同法第9条は探偵業者に対し、そうした依頼を受託してはならないと定めています。心配な点は、契約前の説明の場で率直に聞いてください。
相手が先に浮気をしているのに、こちらが責任を問われるのは納得できません。
相手の行為と、あなたの行為は別々に評価されます。相手に不貞があったことは、あなたが行った調査方法の適否を打ち消しません。逆に言えば、調査方法を適切に選べば、この論点で反撃されることを避けられます。感情としては割り切れない部分ですが、手続きの上ではこう扱われます。
探偵が違法な方法で調べた場合、依頼者も責任を負いますか。
誰がどこまで責任を負うかは事案によって変わるため、一律には言えません。ただし探偵業法第7条により、依頼者は調査結果を違法な行為に用いない旨の書面を交付することになっており、契約時に何を依頼したかは記録として残ります。契約前に交付される書面で、調査の方法と委託の方針を確認しておいてください。
警察に相談すれば調べてもらえますか。
配偶者の不貞は民事の問題で、それ自体は刑事事件ではないため、警察が調査に動くことは通常ありません。一方、暴力や脅迫を受けている、つきまとわれているといった場合は、警察相談専用電話#9110で相談できます。調べたい内容と、危険を避けたい状況は、相談先が分かれると考えてください。
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法律上の注意
この記事は、相手の行動を調べる手順を説明するものではありません。どの行為がどの法律に触れるおそれがあるかを、条文にあたって示すものです。ご自身のケースが違法にあたるかどうかの判断は弁護士の業務であり、当サイトでは行っていません。