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目の前に置かれた端末のロックを解除して画面を見る行為は、不正アクセス禁止法の対象外とされています。
ただし、それは「何も起きない」という意味ではありません。罪に問われないことと、問題が残らないことは別です。
この記事では、対象外とされる理由と、それでも残る3つの問題を順に見ていきます。判断が必要な場面は弁護士の業務のため、ここでは条文の話までを扱います。
対象外とされる理由は、条文の1語にある
不正アクセス禁止法第3条が禁じているのは、電気通信回線を通じて他人の識別符号を入力し、アクセス制御機能による利用の制限を解除する行為です。警察庁の解説でも、この要件が示されています。
手元にある端末を直接操作する行為には、この「電気通信回線を通じて」が当てはまりません。
回線をまたいでいないためです。
だからといって、条文が「見てよい」と言っているわけではありません。この法律が守ろうとしている対象の外にある、というだけです。
それでも残る問題(1)話し合いの場で持ち出される
離婚や慰謝料の話し合いに進んだとき、相手側が「勝手に端末を見られた」と主張することがあります。
このとき論点になるのは、その行為が犯罪かどうかではなく、夫婦の間で何があったかです。
相手の不貞と、あなたが端末を見た行為は、それぞれ別に評価されます。片方がもう片方を打ち消すことはありません。
確かめたかっただけの行為が、相手の材料になる形が、ここで起きます。
それでも残る問題(2)パスコードを控えた時点で別の条文に入る
見落とされやすいのがここです。
不正アクセス禁止法は、ログインする行為だけを見ているわけではありません。
- 第4条 — 不正アクセス行為の用に供する目的で、他人の識別符号を取得してはならない
- 第6条 — 同じ目的で、不正に取得された識別符号を保管してはならない
罰則は第12条により1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金です。
画面を見ただけの段階から、控えて持っている段階に移ると、扱う条文が変わります。
ただし、どちらの条文にも「不正アクセス行為の用に供する目的で」という要件があります。メモが存在することだけで当てはまると決まるわけではありません。
そして、その目的があったかどうかを判断するのは、あなたではありません。
それでも残る問題(3)封をした郵便物は別の話
端末の周辺で一緒に見られがちなのが、郵便物です。
刑法第133条は「正当な理由がないのに、封をしてある信書を開けた者」を処罰の対象にしています。法定刑は1年以下の拘禁刑又は20万円以下の罰金です。
同じ家に届いた郵便物であっても、宛名が相手であれば、封を開ける行為はこの条文に触れるおそれがあります。
すでに開封されて置かれているものを読む場合は、この条文の対象からは外れます。
見たあとに困る人が多い理由
実際に相談が増えるのは、見た後です。
やり取りを見つけたものの、それが何を示しているのか自分では判断できない。相手に問い詰めれば警戒される。かといって放置もできない。
この状態は、情報が足りないのではなく、情報の種類が違うことによって起きています。
画面に残っていた文面が示すのは、連絡を取っていた事実です。どういう関係だったのかは、そこからは読み取れないことがあります。
次に取れる行動
すでに見てしまった場合、記録を消す必要はありません。ただし、手を加えないでください。 撮り直しや整理し直しで、撮影日時などの情報が失われることがあります。
そのうえで、確かめたいことが残るなら、別の端末からログインする場合との違いを先に読んでおくと、やってはいけない一線がはっきりします。
よくある質問
夫婦なのだから、相手のスマホを見る権利はありませんか。
婚姻していることは、相手の通信の内容を見る権利を与えるものではありません。夫婦であっても、それぞれが別の人格として扱われるためです。ただし、家庭内で日常的に互いの端末を触っていた実態があるかどうかは、事情として考慮され得ます。一律に決まる話ではないので、具体的な判断は弁護士にご確認ください。
見た内容をスクリーンショットで残しました。使えますか。
そのやり取りが何を示すかによります。会っていた事実までは読み取れても、どういう関係だったかまでは説明しきれないことがあるためです。加えて、どうやって入手したかを相手から問われる場面があります。相手に見せる前に、弁護士に相談してください。
相手のパスコードをメモしてあります。これは問題ですか。
不正アクセス禁止法第4条は、不正アクセス行為の用に供する目的で識別符号を取得する行為を、第6条は同じ目的で不正に取得された識別符号を保管する行為を禁じています。罰則は第12条により1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金です。ただし条文には目的要件があるため、メモの存在だけで当てはまると決まるわけではありません。
郵便物やクレジットカードの明細を見るのはどうですか。
封をしてある信書を正当な理由なく開けた場合、刑法第133条の信書開封に当たり得ます。法定刑は1年以下の拘禁刑又は20万円以下の罰金です。すでに開封されて家に置かれているものを読む場合は、この条文の対象からは外れますが、その内容をどう使うかは別に問われます。
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法律上の注意
端末のロックを解除する方法や、見たことを気づかれないようにする手順は掲載していません。この記事が扱うのは、その行為の後に何が残るかだけです。ご自身のケースについての判断は弁護士にご確認ください。