目的によって、窓口が変わります。
相手の行動を確認したいのであれば、届出をした探偵業者以外に現実的な選択肢は見当たりません。一方、相手の氏名や住所を調べたいのであれば、弁護士に依頼したうえで使える制度があります。
まとめて「探偵以外の方法」と考えると迷うので、目的ごとに分けて見ていきます。
目的ごとの窓口
| 知りたいこと | 担当 |
|---|---|
| 誰と、いつ、どこで会っていたか | 届出をした探偵業者 |
| 相手方の氏名・住所・勤務先 | 弁護士(弁護士会照会という制度がある) |
| 慰謝料を請求できるか、いくらか | 弁護士 |
| 暴力・脅迫・つきまといから身を守りたい | 警察(#9110、緊急時は110番) |
1行目と2行目が混ざりやすい部分です。
行動を確かめることと、相手が誰かを特定することは、別の作業になります。
弁護士会照会という制度
あまり知られていない制度なので、少し詳しく書きます。
日本弁護士連合会の説明によれば、これは弁護士法第23条の2にもとづく制度で、次のように運用されます。
- 弁護士が、所属する弁護士会に照会申出書を提出する
- 弁護士会が、形式面と実質面(必要性・相当性)について審査する
- 審査を通ったものについて、弁護士会会長名で官公庁や企業に照会する
- 照会先には、原則として回答義務がある
回答義務がある点が、この制度の特徴です。
たとえば、電話番号は分かっているが誰なのか分からない、という状況で使われることがあります。
ただし、自分では使えません
重要な制限があります。
依頼者が直接申し込む制度ではありません。
弁護士に事件を依頼したうえで、その弁護士が申し出て、弁護士会が審査します。審査で必要性・相当性が認められなければ、照会は行われません。
したがって、次の順序になります。
弁護士に相談する → 受任してもらう → 弁護士が照会を申し出る
「探偵に頼まずに済む方法」として単独で使えるものではない、という点は押さえておいてください。
警察が動かない理由
「警察に相談すれば調べてもらえるのでは」と考える人は多くいます。
配偶者の不貞は民事の問題であり、それ自体は刑事事件ではありません。そのため、警察が調査に動くことは通常ありません。
一方、次の場合は別です。
- 暴力を受けている
- 脅されている
- つきまとわれている
これらは警察相談専用電話#9110で相談できます。緊急のときは110番です。
確かめたいことと、身の安全を守ることは、相談先が分かれます。
費用が心配な場合
弁護士に相談する費用が負担になる場合、法テラスの制度を利用できることがあります。収入などの条件がありますが、無料の法律相談や、費用の立替えの制度が用意されています。
調査に入る前に、弁護士へ相談する順番のほうが良い場合があります。
とくに、時効の期限が近い可能性がある場合です。集め終えた時点で期限が過ぎていた、という事態を避けられます。詳しくは慰謝料の時効にまとめました。
結局どこから始めるか
決められない場合、次の順で考えてください。
- 期限が気になる → 先に弁護士(法テラスの相談も可)
- 相手が誰か分からない → 弁護士(弁護士会照会が使えるか相談する)
- 行動を確かめたい → 届出をした探偵業者
- 危険を感じている → 警察
このサイトが扱っているのは、主に3番です。 1番と2番が先に来るケースもあるので、隠さずに書いています。
3番に進む場合は、契約前に確かめることから読んでください。
よくある質問
弁護士会照会を自分で申し込めますか。
できません。日本弁護士連合会の説明によれば、弁護士が所属する弁護士会に照会申出書を提出し、弁護士会が必要性と相当性を審査したうえで、弁護士会会長名で照会が行われます。依頼者は、弁護士に依頼したうえで間接的に利用する形になります。
弁護士に頼めば、行動の調査もしてもらえますか。
弁護士は法律事務の専門家であり、尾行や張込みによる実地の調査を行う立場ではありません。探偵業法第2条が定義する探偵業務にあたる部分は、届出をした探偵業者が担うことになります。弁護士事務所によっては、調査会社と連携している場合があります。
警察に相談すれば調べてもらえませんか。
配偶者の不貞は民事の問題であり、それ自体は刑事事件ではないため、警察が調査に動くことは通常ありません。一方、暴力や脅迫、つきまといがある場合は別で、警察相談専用電話#9110で相談できます。困っている内容によって窓口が分かれます。
調査会社と探偵事務所は違うのですか。
名称の違いであって、探偵業務にあたる調査を業として行う場合は、いずれも探偵業法第4条の届出が必要です。興信所という名称も同じです。名称ではなく、届出をしているかどうかで確認してください。
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法律上の注意
この記事は制度の説明であり、どの窓口が適切かの判断ではありません。弁護士会照会が使えるかどうかは、受任した弁護士と弁護士会が判断します。