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紛失防止タグを使って相手の位置情報を無断で取得する行為は、令和7年12月30日から規制対象です。
警察庁は、令和7年改正の内容として「紛失防止タグを用いた位置情報の無承諾取得等を規制対象行為に追加」と説明しています。
この日付が、この記事でいちばん大事な情報です。 改正前に書かれた記事は、まだ対象外という前提のまま残っていることがあります。
令和3年の改正では対象になっていなかった
時系列を整理します。
| 時期 | 規制対象になったもの | 施行日 |
|---|---|---|
| 令和3年改正 | GPS機器等を用いた位置情報の無承諾取得等 | 令和3年8月26日 |
| 令和7年改正 | 紛失防止タグを用いた位置情報の無承諾取得等 | 令和7年12月30日 |
令和3年の改正は、元交際相手等の自動車にGPS機器をひそかに取り付ける事案を踏まえたものでした。
紛失防止タグは、この時点では規制の対象に含まれていませんでした。 落とし物を探す用途の製品であり、想定されていた機器と性格が違ったためです。
その後、タグを悪用した事案が問題になり、令和7年改正で追加されました。
条文の上では、第2条第3項が挙げる「位置特定用識別情報送信装置」がこれに対応します。製品名ではなく装置の機能で書かれているため、新しい製品が出ても条文を書き換えずに済む形になっています。
「バレるのか」への答え
法律の話とは別に、製品の側にも事情があります。
結論から書きます。相手がスマートフォンを持っているなら、気づかれる可能性は高いです。検知して知らせる仕組みが、OSの側に組み込まれているためです。
Appleの「Personal Safety User Guide」には、対応状況が次のように書かれています。
| 相手の端末 | 検知の経路 |
|---|---|
| iPhone・iPad(iOS 14.5以降) | AirTagと「探す」対応アクセサリの、不要なトラッキング通知に対応 |
| iPhone(iOS 17.5以降) | 他社製を含む、不明なBluetoothトラッキングデバイスも通知の対象 |
| Android(6.0以降) | Googleが不要なトラッキング検出を提供 |
| それより古いAndroid | Tracker Detect アプリで検出できる |
iPhoneでもAndroidでも、相当古い端末でない限り検知の経路があります。
音も鳴ります。同ガイドには、持ち主から一定期間離れたAirTagは、動かされると周囲に知らせる音を鳴らすと書かれています。
音が鳴るまでの時間
Appleは、この「一定期間」の長さを公表していません。
報道では、当初の3日間から短縮され、おおむね8〜24時間の範囲とされています。EngadgetやMacworldなどの報道による数値で、Appleの公表値ではありません。
浮気調査で想定される使い方は、相手の持ち物に付けたまま数日から数週間置いておく形です。この時間の幅は、その使い方よりはるかに短いことになります。
Appleの製品ページにも、次の記載があります。
誰かのAirTagがあなたの持ち物に紛れ込んでも、それをiPhoneやAndroidスマートフォンが検知して、アラートを表示。
相手の持ち物と一緒に移動している状態は、この仕組みが想定している状況そのものです。
見つかったあとに何が起きるか
タグが検知されると、相手の端末に「一緒に移動しているアイテムがある」という趣旨の通知が出ます。
このとき相手が取れる行動は、大きく2つあります。
1つは、タグの持ち主を特定する方向に動くことです。もう1つは、警察に相談することです。
後者に進んだ場合、ストーカー規制法の警告や禁止命令の手続きの対象になり得ます。禁止命令に違反してストーカー行為をした場合の罰則は2年以下の拘禁刑又は200万円以下の罰金です。
そして、離婚や慰謝料の話し合いに進んだとき、タグを置いた事実が相手側の材料になります。
確かめたかっただけだという説明が通るかどうかは、そのときに判断されることになります。
「共有の持ち物なら」という考え方が通りにくい理由
夫婦で共有している車や、家族で使っているバッグに置くのであれば問題ないのではないか、と考える人がいます。
しかし条文が見ているのは、承諾のない位置情報の取得があったかという点です。
物の名義が共有であることは、相手が自分の行動を知られることに同意したことを意味しません。
「相手の持ち物ではない」と「相手の位置を知る目的ではない」は、別のことです。 前者が言えても、後者が言えなければ説明にはなりません。
位置を知るのではなく、何を確かめたいのかを言葉にする
タグを使いたくなるのは、相手がどこにいるかを知りたいからです。
ただ、離婚や慰謝料の話し合いで問われるのは、居場所そのものではなく、誰と、どういう関係にあったのかです。
移動の記録が残っても、そこが答えにならないことがあります。
手元にある記録が使えるのかを先に確かめておくと、何が足りていないのかがはっきりします。
よくある質問
令和3年の改正でGPSが対象になったと読みました。タグも同じですか。
同じではありませんでした。令和3年改正で対象になったのはGPS機器等を用いた位置情報の無承諾取得等で、紛失防止タグを悪用した行為はこの時点では規制対象になっていませんでした。これが令和7年改正で追加され、令和7年12月30日から施行されています。改正前に書かれた記事を読むと、この差が反映されていないことがあります。
自分の持ち物に付けたタグが、たまたま相手の車に載っていた場合は。
偶然そうなった状態と、相手の行動を知る目的で置いた状態は、事情として区別されます。ただしその区別を説明するのは、後から見つかったあなたの側になります。説明できる状態かどうかを先に考えてください。判断が必要な場面では弁護士にご相談ください。
相手のiPhoneに通知が届かない設定にはできますか。
そうした方法はこの記事では扱いません。仮に通知を避けられたとしても、規制の対象かどうかは通知の有無で決まらないためです。条文が見ているのは、承諾を得ずに位置情報を取得したか、相手の所持する物に取り付けたかという点です。
探偵に頼めばタグを使ってもらえますか。
依頼できる内容は、契約前に交付される書面に記載される調査の方法として示されます。探偵業法第2条が定義する探偵業務は実地の調査であり、機器を相手の持ち物に取り付ける方法はこの定義に素直に収まりません。方法に疑問があれば、契約前の説明の場で確認してください。
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法律上の注意
設置の方法や見つからないようにする手段は掲載していません。この記事が扱うのは、その行為がいつから何の対象になったのかだけです。ご自身のケースについての判断は弁護士にご確認ください。